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​写真館​

インド India

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 子どもは高い所が好きだなぁ。インドの子どもも、ウイグルの子どもも、スリランカの子どももみんな、工事中の道に積まれた砂利や土の山に登っては、きゃぁきゃぁ言って転がり下りていた。

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 ジョードプルは、屋根を空色に塗った家々が立ち並ぶ「青の町」。
かつてのハーレムの城がそびえる山頂へ続く坂道で出会った、かわいらしい3人娘を一枚。

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 コルカタにある、「毎日ヒツジ大量生け贄」で有名な寺院へ行った。お寺のそばで休んでいると、小さな女の子が来て、「お金をちょうだい」と手を差し出した。お金は「ノー」と答えたが、日本から持ってきた風船をあげると、顔をくしゃくしゃにして笑った。
 僕の持っていた小さなカメラで互いを撮り合った。少女が写した僕の顔は、口から上だけが写真の右下にかろうじて収まっていた。

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 僕が立ち去ろうとしても、どこまでも満面の笑みで腕につかまって付いて来る。いやはや参ったなぁ、と思いながらも、お父ちゃん気分で一緒に町を歩いた。
 駄菓子屋に入って「どれが好き?」と聞くと、女の子は小さな袋入りのラムネ菓子を選んだ。はにかんだような、後から後から止め処なく溢れ出るような、少女のそんな笑顔のおかげで、その日一日が楽しくなった。

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 「家内工業の工場兼店舗兼住まい」がずらりと続く。子どもは重要な労働力だ。粉問屋に生まれれば粉問屋の一員になり、修理工の息子なら修理工になる。大抵の場合、「迷う」という選択肢はない。

 そんな現実を、彼らがどう感じながら生きているのか僕は知らない。が、体に染み込んだ動きで黙々と働く下町の人の姿を見るのは、たまらなく好きだ。

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 夜の礼拝を見ようと思い、ヒンドゥー寺院への道を歩いていたら、「食べるかい?」と、道端の夜店のおじさんが声をかけた。カレー味の揚げ物とシロップまみれのお菓子は、屋台の2大勢力だ。

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 インドの人は、基本的にみんな写真を撮られるのが好きだ。向こうもこっちも、お互い何を言っているのかわからないけど、「撮っていい?」「もちろん!」ぐらいは体ひとつあれば十分。

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 南インドのマドゥライという町で、陽気なドラム青年に出会った。
祭りや行事の時に使う太鼓がたくさん置いてある小屋へ行き、連れの青年と2人、大サービスで叩いて見せてくれた。音楽を心から楽しんでいる人に会うと、どうしようもなくこちらも楽しくなる。

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 日本ではナンが有名だが、インドの人はほとんど食べない。よく食べているのはチャパティーかローティー。三つとも全粒粉(=精製していない小麦から作った粉)を使うが、ナンは卵が入り、さらに発酵させてふっくらしたもの。高級食なのだ。ローティーを食べ切ると、ササッと次の焼き立てを皿の上に持って来てくれる。

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 みんな裸足で元気に遊ぶ。外国人にも物怖じしない。

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 裏路地のあちこちにあるヒンドゥー教の神様が祀られたの祭壇を、子どもたちがひとつひとつ案内してくれた。「これはシヴァ。これはムルガン」と、彼らは神様たちの名前をよく知っていた。

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 物静かでしっかり者の兄貴に天真爛漫な妹、といった感じで、何だか「しっかりな!」と声をかけたくなる素敵な兄妹。

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 ヒンドゥー教が描く世界のことはよく知らない。宗教心というもののかけらもない僕だが、「見えない何かにひれ伏す」ことは、人の心に大きな影響を与えるような気がした。

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 像の額を触り、色のついた粉を塗り、何度もひれ伏して、去って行く。次から次へと、礼拝の人はやって来る。

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 町じゅう国じゅう、とにかくチャイ。電車の中もバスの中も、スタジアムでも公園でも、どこからともなくチャイ売りは現れる。

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 道ですれちがったダンディなおじさん。虎とライオンが吠え合っているような刺青がおもしろかったので一枚。

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 よくあるターリー(定食)の基本形。何種類かのカレーと、チャパティー。それに豆でできた、パパルという揚げせんべい。付け合せのヨーグルト。バナナの葉っぱで器用にこしらえた器が楽しい。
 インドに着いてしばらくはガツガツ食べていたが、2ヶ月間のカレー攻めにはさすがに参った。しかし、こうして写真を見て振りかえると、またちょっとつまみたくなる。

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 そこら中に散らばっている牛の糞などなんのその。ガンジス河のほとりに、ずらっと洗濯物が干してあった。

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 南インドのコーチンという海沿いの町。昔は多くのユダヤ人がここで暮らしていたが、イスラエル建国後は故郷の地に帰ってしまい、今は数家族を残すのみだそうだ。
 かつてのユダヤ人居住区へ向かう道で、昼ごはんのお使い途中の男の子を一枚。

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 インドの南の先っぽ、カーニャクマリの漁村はのんびりと穏やかな空気が流れていた。すでに午前中の漁を終えた漁師たちが、日陰に座って網を直したり、おしゃべりをしたり、昼寝をしたりと、思い思いに午後の時間を過ごしていた。

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 空と海とによく似合う、きれいな青色のワンピースを着た女の子が、カーニャクマリの海岸をひとり歩いていた。カメラを向けていると、女の子は笑いながら僕の方へ走ってきた。

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 青色ワンピースの子の友達もやって来て、ワイワイ言いながらみんなそろって記念撮影。一番元気なのはワンピースの子。みんなかわいらしい服を着て満足そうだ。

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 砂浜に面した家の中から、海を見ていたのか子どもたちを見ていたのか、おじさんはジーっと外を眺めていた。(終)

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