top of page

​写真館​

ベトナム Viet Nam

phuq_01.jpg

 ベトナムの南方沖にフーコック島という島がある。漢字で書くと「富国島」だそうだ。
 島の南端、船着場のあるアントイという集落に宿をとった。ベトナム料理には欠かせないヌックマムという魚醤が島の特産なのだが、アントイにはヌックマム工場がいくつかあり、一帯の空気は1日中ヌックマムのにおいに濃く濃く支配されていた。
 朝、港近くの屋台でフォーをすすり、バイクに乗ってケムという美しい浜へ泳ぎに行った。浜へ通じる小道沿いの民家の前。ジャックフルーツの木の下で、男の子とハンモックがゆっくりと気持ちよさそうに揺れていた。

phuq_02.jpg

 ケムビーチの北の方にあるサオビーチという浜まで歩いた。島を南北に走る舗装道路をずんずん進む。思っていたよりずっと遠くて、炎天下の中を1時間歩く羽目になった。途中にあった小学校はちょうど授業の合間だったようで、子どもたちがワイワイと校舎から出てきた。

phuq_01.jpg

 ようやく辿り着いたサオビーチも、真っ白い砂浜が続く静かできれいな場所だった。遠浅で波も穏やかなので、南国のギラギラ太陽の下、徹底的にプカプカ浮きまくっていた。
 一生分ほど浮いてしまったので、ぼちぼち浜に上がって散歩をしていると、なんとアヒルも散歩中だった。南国の海とアヒルがうまく結びつかなかったが、まぁ居るもんは仕方がない。考えてみれば僕よりアヒルの方が先住民なわけだ。

vn_04.jpg

 ラオスから1日がかりでベトナム北部のヴィンという町までやって来た。町はでかいが外国人が立ち寄っておもしろいものは何もなく、観光客の姿はない。僕は久しぶりのベトナムの空気に興奮気味になり、いつもよりやや高めのおかず屋で腹いっぱいメシを食い、町を歩き回った。
 学生街の一角にある古本屋のおやじは、僕がベトナム語の辞書を探していると興味深そうに話し掛けてきた。おやじは「私はロシア語が話せるんだ」と知的な顔をさらに知的にして言った。

vn_05.jpg

 メコンデルタにある町ロンスエン。市場のすぐそばには船着場があり、海のようなメコン河の四方八方へ向けて、カラフルな船が行き交っていた。パイナップルをたーんと積んだ木船が着くと、小さな女の子がぴょんぴょんと元気にそれを積み降ろした。

vn_06.jpg

 ダックグレイはベトナム中部高原の小さな町。出発前に宿近くのそば屋で、ブンリュウという丸麺&トマト入りスープのそばで腹ごしらえ。隣りのテーブルでスープを一口一口味わいながら食べていた男の足元に、犬がおこぼれを狙ってうろちょろ徘徊していた。

vn_01.jpg

 メコンデルタのベンチェーという町で立ち寄った家では、椰子の木で箸を作っていた。黙々と機械で箸の形を整えていたおにいちゃんは、僕がじっと見学して写真を撮ると、ちらっと笑顔を見せた。聞けば、日本向けにもたくさん輸出しているそうだ。

vn_03.jpg

 ベンチェーは果物の大産地。果物好きの僕にはたまらない。小さなボートを雇って、メコンの果樹園を巡った。一軒のヤシ葺き屋根の民家の男の子は、「パワーレンジャー」と描いた鮮やかな青色のシャツが似合っていた。

vn_02.jpg

 民家の土間では、おばちゃんが屋根葺き用の水椰子の葉をこしらえていた。「屋根は4年おきに葺き替えるんだよ。となりの家はトタン屋根だから暑くてしかたないわ」と作業の手を休めず、どでかい声で話してくれた(終)

bottom of page